日本核医学会日本核医学技術学会日本アイソトープ協会核医学検査(アイソトープ検査・RI検査)をお受けになる方々へ核医学検査(アイソトープ検査・RI(アールアイ)検査)は、患者さんにとって苦痛の少ない検査方法です。また、核医学検査は、エックス線検査、MRI(エムアールアイ)検査、CT検査、超音波検査等と同様に画像により診断する検査方法ですが、その特徴を生かして、脳、心臓、甲状腺、悪性腫瘍等の診断に欠かせない検査方法として医療に役立っています。核医学検査を行うには、専用の装置や「放射性医薬品」という特殊なくすりが必要です。さらに、専門の医師と診療放射線技師が安全に配慮して行います。患者さんの病状を正確に把握し、より適切な治療方針を決定するためや治療後の経過を的確に観察するために、核医学検査が必要とされているのです。Q1核医学検査はどんな検査なのですか?2Q2放射性医薬品とはどんなくすりですか?4Q3核医学検査はどのような手順で行われますか?6Q4CT、MRI、超音波などの検査とどう違うのですか?8Q5骨の核医学検査を受けるのですが、何がわかるのですか?10Q6ガリウムシンチとはどんな検査ですか?12Q7心臓の核医学検査を受けるのですが、何がわかるのですか?14Q8脳の核医学検査を受けるのですが、CT、MRI検査とどう違うのですか?16Q9肺の核医学検査では何がわかるのですか?18Q10腎臓の核医学検査では何がわかるのですか?19Q11甲状腺の核医学検査では何がわかるのですか?20Q12副腎の核医学検査では何がわかるのですか?21Q13PET(ペット)検査とはどんな検査なのですか?22Q14核医学検査で副作用はありませんか?24Q15核医学検査で子供ができなくなることはありますか?26Q16バセドウ病でアイソトープ治療をすすめられました。どんな治療ですか?28目次ひとことで言いますと、放射線を放出するアイソトープを含んだくすりを使って、ガンマカメラで体内の状態を調べる検査です。Aガンマ線という放射線を放出する少量のくすり--これを「放射性医薬品」といいます--を静脈から注射し、検査用のベッドの上で静かに横になっている間に、ガンマカメラで体の中の様子を画像(シンチグラム)にする方法です。多くの場合、受診する方が検査用のベッドに20~30分静かに横になっている間に、検査は終わってしまいます。ですから、患者さんにとって大変苦痛の少ない検査法なのです。静脈から注射するほかに、くすりによっては、カプセルを飲んでいただくものや、呼吸によって吸入していただくものなどがあります。多くの場合はガンマカメラで、体の中の状態を画像にして診断しますが、他の装置で測定することもあります。Q1Q1核医学検査はどんな検査なのですか?基礎知識アイソトープは「同じ場所」という意味で、20世紀のはじめの科学者が、ギリシャ語から借用して作った言葉です。元素には、化学的性質が同じでも、重さの違うものが存在していることが発見されて、元素の周期表の同じ位置にあるという意味で「アイソトープ」と命名しました。このアイソトープを和訳したものが「同位元素」です。同位元素の中で放射線を出すものを「放射性同位元素」といい、放射線を出さないものを「安定同位元素」といいます。放射性同位元素は、正式には「ラジオアイソトープ」といいますが、この小冊子では省略して「アイソトープ」ということにします。アイソトープガンマカメラで検査をしているところQ2放射性医薬品とはどんなくすりですか?放射性医薬品は、体の外からは見えない病気の場所や臓器の状態を、放射線という信号を出して知らせてくれるくすりです。Aこのくすりの特徴は、放射線を放出するアイソトープを含んでいることです。注射された少量の放射性医薬品は、外部から見えない病気の場所や臓器の状態を、放射線という信号を出して知らせてくれます。この大事な信号を受け止める役目が、ガンマカメラという装置です。またこの信号は、臓器の形の異常のあるなしにかかわらず、機能の異常を早期に知らせてくれるのです。多くの場合、注射されたくすりは、一度は目的の臓器や器官に集まりますが、早いものでは数時間で、遅くても数日で信号(放射線)が弱くなって、やがてなくなってしまいます。これは、くすりが体から排泄されたり、放射線を放出するアイソトープそのものの能力が弱くなってしまうからです。基礎知識0611ー21ー41ー81218時間量放射性医薬品によく用いられるアイソトープ(テクネチウム-99m)の減り方放射線が物に及ぼす効果を、ある単位質量の物質が吸収したエネルギーとして定義した単位が「Gy(グレイ)」です。一方、生物が放射線を吸収した場合には、放射線の種類や吸収した臓器や組織によって、その影響の度合が異なるために、放射線の影響を同じ尺度で表す単位が決められました。それが「Sv(シーベルト)」です。ミリグレイはグレイの千分の一、ミリシーベルトはシーベルトの千分の一です。※この単位はQ14、Q15の説明で使われます。放射線の影響を表す単位目次に戻るQ14Q3核医学検査はどのような手順で行われますか?基本的には、検査の予約→検査に必要な準備→検査の実施→検査結果のお知らせの順で行われます。A放射性医薬品の有効期間は極めて短いため、検査予定日の朝に病院に届いたくすりを、その日のうちに使わなければなりません。多くの場合が静脈から注射しますが、カプセルを飲んでいただいたり、ガスを吸入していただくこともあります。検査の性質上、目的の臓器にくすりが集まるまで、1~3時間待っていただいたり、朝の絶食、服用中の薬の一時中止などが必要な場合もありますので、医師の指示にしたがってください。検査は、専用ベッドに静かに横になっている間に行われることが一般的です。待ち時間を含めて2~3時間で終了する検査が多いのですが、注射をして1日または2~3日後にもう一度来院が必要な検査もあります。核医学の専門医が診断いたしますので、検査結果の説明が後日になる場合も多いと思われます。基礎知識④検査の実施①診察・説明⑤検査結果の説明③検査ための注射②検査の予約・注意点の説明核医学検査の手順Q4CT、MRI、超音波などの検査とどう違うのですか?画像を使って病気を診断する検査には、核医学検査のほかにCT、MRI、超音波などの検査があり、それぞれに特徴があります。A体のどこかに具合の悪い部分がありますと、それが原因で病気になります。病気を治療するためには、具合の悪い部分の機能やその形、大きさを知ることが大切です。その全てがわかって、はじめて、適切な治療方法が決められます。また、治療を続けている間は、治療の効果を確かめることも大切です。検査は、治療の方法を決めるためと治療の効果を確かめるための二つの目的で行われますが、核医学検査は、おもに臓器の働き具合(機能)を調べます。CTやMRIや超音波検査は、形(位置)や大きさを調べます。必要な検査を組み合わせて行うことで、具合の悪い部分の機能やその形、大きさがわかります。その結果、治療の方針を決めたり、効果的な治療が行われているかを判断したりすることができるのです。核医学検査は、放射性医薬品がどのような速さで、どこに、どれだけ集まってくるかを調べることで、病気の状態を、形の異常が現れる前に診断できます。基礎知識CTの画像(一過性脳虚血)核医学検査の画像(一過性脳虚血)CTでは明らかでない部分でも、核医学検査では血液の流れていない部分がわかります。(注)核医学検査の画像の黄色や赤色の部分は脳に血液が正常に流れていることを示します。MRIの画像(副甲状腺機能亢進症)大きく膨れた副甲状腺の場所がわかります。超音波の画像(副甲状腺機能亢進症)大きさが約13.8mmということがわかります。核医学検査の画像(副甲状腺機能亢進症)アイソト-プの集積程度から活発さがわかります。脳の画像の比較副甲状腺の画像の比較MRIや超音波検査の画像では異常のある副甲状腺の位置や大きさを示しており、核医学検査では副甲状腺の機能が亢進(過剰に活発化)していることを示しています。Q5骨の核医学検査を受けるのですが、何がわかるのですか?Aこの検査に用いられるくすりは、骨の代謝や反応が盛んなところに集まります。この性質を利用して、骨腫瘍や骨の炎症、骨折の診断ができます。骨の核医学検査は、乳がん、肺がん、前立腺がんなど各種のがんの治療前や治療後の経過をみる上で欠かせません。エックス線検査よりも早期に、しかも患者さんの苦痛も少なく骨の異常を見つけられます。また、エックス線検査では診断が困難なスポーツ選手の疲労骨折や、骨粗しょう症に伴う骨折の診断でも、核医学検査は大変役立っています。骨シンチといわれるこの検査は、がんが骨へ転移していないかを確認するためにもっとも多く行われます。また、骨の炎症、骨折、その他多くの骨の病気を診断できます。事例1検査はテクネチウム-99mというアイソトープをつけたリン酸化合物を用います。このくすりを静脈から注射して約2~3時間後に、骨に十分くすりが集まってから画像(シンチグラム)をとります。通常は午前に注射して、午後から骨の画像をとることが多いと思います。この検査は食事とは関係ありませんので、朝食や昼食は普通にとっていただいてかまいません。また、待ち時間の間は検査室の外に行かれても差し支えありません。検査は20~40分間で終わります。検査中はカメラやベッドがゆっくり動いて、全身の画像をとります。きれいな画像をとるために、検査をしている間は動かないようにしてください。また、検査直前にトイレに行き、膀胱を空っぽにしていただきます。検査方法バスケットの練習中に右足の痛みを訴え来院。エックス線写真では異常を認めないが、骨シンチグラフィは右の第3中足骨に疲労骨折を早期に描出しています。エックス線検査の画像核医学検査の画像疲労骨折症例Q6ガリウムシンチとはどんな検査ですか?悪性腫瘍が疑われたときや、高熱が長く続いて炎症の部位が判らないとき、この検査が行われます。Aガリウム-67というアイソトープを含んだくすりを用いた核医学検査が、ガリウムシンチです。このくすりは、腫瘍や炎症に集まる性質があります。この性質を利用して腫瘍や炎症が、どの部位にあり、どの程度の進行具合かを調べます。通常は、全身の画像(シンチグラム)をとり、くすりの集まり具合により診断します。この検査や他の検査の結果から総合的に判断して、治療法が選択されます。また、治療を開始した後には、治療の効果を確かめるためや、再発していないかどうかを知るために、この検査が行われます。骨シンチは骨が対象ですが、ガリウムシンチは骨以外の部位も対象となります。多くの場合、ガリウムを注射し、病巣が最も鮮明に見える2~3日後に画像(シンチグラム)をとります。注射されたガリウムは、腸管から排泄されるため、お腹に病気がある時は正常な腸と病気の場所が重なって見えにくいことがあります。そのため検査の前日の夜に下剤を飲んでいただくことがあります。また、浣腸が必要な場合もありますが、腸をきれいにするだけなので、食事はふだん通りでけっこうです。検査時間は、30分~1時間です。静かに寝ているあいだに、ガンマカメラで全身と各部位の画像をとります。腸管が重なってわからないときは、翌日にもう一度検査することもあります。事例2検査方法間質性肺炎肺全体に炎症が波及しています。悪性リンパ腫頸部、胸部、腹部、左股の付け根に腫瘍があります。Q7心臓の核医学検査を受けるのですが、何がわかるのですか?血液の足りない心臓の筋肉がどこで、その筋肉は治療で治る見込みがあるかを調べるのが、この検査の主な目的です。A心臓は筋肉のかたまりで、からだ全体に血液を送り出すポンプです。常に働き続けているため、たくさんの栄養や酸素が必要です。この酸素や栄養は、冠動脈と呼ばれる3本の血管を流れる血液によって運ばれます。狭心症や心筋梗塞は、この冠動脈が動脈硬化などで狭くなったり、血液が流れにくくなっておこります。治療は、細い管(カテーテル)で血管の狭くなったところを拡げたり、別の血管をつなぐバイパス手術を行うなどして、心筋細胞に血液が十分運ばれるようにします。治療の前に知っておかなければならないことは、血液の流れが足りない心筋の場所がどこか、そこの心筋細胞は生きていて、治療で治る見込みがあるかどうかです。この目的に心筋シンチグラフィが大変役立ちます。また、血管造影検査と比べて患者さんの負担が小さいので、治療した後の経過を見るためにもよく利用されます。この他、心臓のポンプとしての働き具合も検査できます。事例3もっともよく行われている方法は、心筋の血流をみる心筋血流シンチグラフィです。タリウム-201やテクネチウム-99mというくすりがよく使われます。ほかにヨウ素-123を使って、心筋の脂肪酸代謝や、交感神経の分布の異常をみるシンチグラフィもあります。タリウム-201を静脈に注射した後、安静にして30分くらいかけて検査する方法が安静時心筋シンチグラフィです。心臓を輪切りにした断面の画像(SPECT)も同時にとります。運動や薬によって心臓に余分な仕事(負荷)をさせて検査する方法を、負荷心筋シンチグラフィといいます。血管の詰まり具合の程度が軽い例では、安静な状態で検査しても、どの部分に病気があるか判りません。そこで、患者さんの心臓に負荷をかけることにより、病気の部分と正常の部分の区別ができるようになります。負荷の後すぐにガンマカメラで画像をとり、その後3~4時間たって、安静時にもう一度ガンマカメラで画像をとります。検査方法治療前治療後治療により血流が回復しています。狭心症の治療前後のSPECT(スペクト)画像の例Q8脳の核医学検査を受けるのですが、CT、MRI検査とどう違うのですか?脳の核医学検査は、CT、MRIで形の異常が現れる前に機能の異常をとらえます。ACT検査は、脳内の形の変化を見て、病気があるかどうかを調べるものです。MRI検査は、装置によっては機能をみることもできますが、通常はCTと同様に脳内の形の変化を見ています。核医学検査は、形の異常ではなく、もっぱら機能の異常を調べるために行われます。脳の病気では形の異常があらわれる前に、機能の異常があらわれることがあります。核医学検査は、病気の早期の診断や回復の可能性がある障害の軽い場所を見つけるために役立ちます。現在、最も多く行われている脳の核医学検査は、脳血流SPECT(スペクト)といわれる血流を調べる検査です。この検査を行うと、脳梗塞、認知症、てんかん、脳腫瘍、外傷などさまざまな病気で起こる脳内の血流の異常がわかります。また、血流異常のパターンから認知症の原因が脳血管障害によるものか、アルツハイマー病によるものかを判断することができます。事例4脳の核医学検査では、くすりを静脈に注射し、20~30分間ガンマカメラで画像をとります。脳内の血流を調べるときは、血流の多いところに多く、少ないところには少なく集まるくすりを使います。そして、くすりの集まり具合を輪切りの画像(断層画像)として表します。この脳の血流を調べる断層画像をとる検査法が脳血流SPECT(スペクト)と呼ばれます。検査方法Q9Q9肺の核医学検査では何がわかるのですか?肺の核医学検査では、肺血流をさまたげている血栓がどこにあるのかがわかります。A肺の毛細血管に血液を送る血管に血栓(血液の一部の固まり)が詰まりますと、胸が痛くなったり息苦しくなったりすることがあります。これが肺塞栓症という病気ですが、血栓が肺のどこにあり、どういう治療をしてよいかを知るために核医学検査を行います。また、血栓を溶かす治療をしているときに治療の効果がでているかを核医学検査で調べることができます。事例5肺塞栓症の肺血流シンチグラフィ前面像。血液の流れが妨げられている部分が多数の欠損になっています(矢印)。Q10事例6Q10腎臓の核医学検査では何がわかるのですか?腎臓の核医学検査では、ふたつの腎臓のろ過機能に異常がないかどうかがわかります。A腎臓は体に不要な成分をろ過する働きをしています。このろ過作用が正常に働いているか、ろ過の速さはどの程度かを核医学検査で調べることができます。腎臓は左右に二つありますから、この二つを比較する際にも核医学検査はとても大切です。腎移植の後に移植された腎臓が正常に働いているかを知るにも、核医学検査が必要です。右腎機能障害の腎シンチグラフィ後面像。検査2分後の画像(A)では左腎のみ写っていますが(矢印)、右腎はまったく見えません。右の腎臓はほとんど機能していないことがわかります。検査10分後の画像(B)では尿管から膀胱(矢印)へ排泄されているのがわかります。Q11事例7Q11甲状腺の核医学検査では何がわかるのですか?甲状腺の核医学検査では、機能が正常かどうか、甲状腺にがんができていないかどうかを調べます。A甲状腺は体調を維持する大切なホルモンを作っています。そのホルモンを甲状腺がつくりだすときに、ヨウ素(ヨード)を必要とします。ホルモンを作る機能が活発すぎないか、不足していないかを放射性ヨウ素を用いた核医学検査で調べることができます。活発すぎる場合は、この検査の結果をもとにヨウ素-131で治療することもできます。甲状腺にできた腫瘍が良性か悪性かも核医学検査でわかります。Q11事例7甲状腺機能亢進症甲状腺は大きさを増し、ヨウ素を大量に取り込んでいる。異所性甲状腺甲状腺が正常の位置でなく、舌の付け根にある。Q12事例8Q12副腎の核医学検査では何がわかるのですか?副腎のはたらきや、副腎に腫瘍ができていないかどうかを調べます。A副腎も同じようにホルモンを調節しており、ここが病気になると血圧が非常に高くなることがあります。ここでも、ホルモンの原料になる物質にアイソトープをつけた放射性医薬品で核医学検査を行うと、副腎の働きを把握できます。副腎にできているかもしれない腫瘍を見つけることもでき、その結果、治療方法を決めることができます。Q12事例8悪性褐色細胞腫多発性転移例全身像(前面)全身像(後面)SPECT像Q13Q13PET(ペット)検査とはどんな検査なのですか?PET検査とは陽電子(ポジトロン)断層撮影法のことです。陽電子と呼ばれる放射線の特殊な性質を利用して、体の中でのエネルギーの使い方、血液の流れ等を調べる検査法です。APET検査で使われるくすりは陽電子(ポジトロン)と呼ばれる特殊な電子を放出します。その性質を利用することで、体の中の状態を知ることができます。PET検査の中で最も多く使われている18F-FDGというくすりは、FDG(フルオロデオキシグルコース)というブドウ糖によく似た物質に放射性のフッ素(18F)をつけたもので、体内での糖分の使われ方を画像にすることができます。悪性腫瘍の多くはブドウ糖を大量に使うため、この画像から悪性腫瘍の存在や広がりに関する情報を得ることにより診断できます。ただし、ブドウ糖をあまり使わない腫瘍は見えにくい等の弱点もあります。また、脳や心臓の血液の流れやエネルギーの使い方を知ることで、脳梗塞や心筋梗塞の診断・治療に重要な情報を知ることができるので、脳や心臓の検査にPET装置を使っている病院もあります。事例9PET検査で用いられるくすりは陽電子という特殊な電子を放出します。陽電子はプラスの電気を帯びているので、放出されるとすぐにマイナスの電気を帯びたふつうの電子にぶつかって、二本の放射線を正反対の向きに発生させます。この正反対の向きに放出される放射線を計測することで、体のどこにどれだけの濃さでくすりが分布したかを知ることができます。陽電子(ポジトロン)参考資料:小冊子「核医学専門医がわかりやすく解説PET検査Q&A」(発行:一般社団法人日本核医学会、公益社団法人日本アイソトープ協会)入手希望の方は、日本アイソトープ協会までお問合せください。FDG-PET検査の場合は18F-FDGというくすりを静脈から注射します。約50分~1時間たって、十分くすりが全身に行き渡ったところでPET装置にて撮影します。検査は20~40分程度、CTのような機械を使って、安静に横になって撮影します。撮影が終わってから約1時間後に2回目の撮影をすることもあります。FDG-PET検査は全身でブドウ糖がどのように使われているかをみる検査ですので、検査の数時間前から食事や糖分の入った飲み物は避けていただきます。脳や心臓の検査の場合は、目的により撮影方法が大きく異なりますので、主治医やPET検査担当医師におたずねください。検査方法Q14放射性医薬品による副作用はごくまれで、10万人あたりに1~2人と非常に少ないのが特徴です。A放射性医薬品の副作用調査※によりますと、1年間の副作用の発生は10万人あたり1~2人と非常に少ないのが特徴です。副作用の症状としては、一時的な気分不良、嘔気、血圧低下、皮膚発赤、発疹、そう痒感などでした。検査用の放射性医薬品に含まれるアイソトープの量はわずかですから、放射線影響の点から見ても心配はありません。投与されるアイソトープの種類や量は、放射線治療の成績や広島、長崎の被爆者のデータ、動物実験の結果などから国際放射線防護委員会の詳細な検討に基づいて、患者さんの利益ができるだけ大きくなるように決められます。※日本アイソトープ協会医学・薬学部会放射性医薬品安全性専門委員会Q14核医学検査で副作用はありませんか?私たちは日常生活においても、わずかですが天然の放射線を受けています。大地に含まれる天然のアイソトープからの放射線、宇宙からやってくる放射線の一種である宇宙線、食事などによりからだの中に入る天然のアイソトープなどがあります。これらをすべて総合すると1年間に約2.4ミリシーベルト(世界の平均値)の放射線を受けています。核医学検査では、1回におよそ1~15ミリシーベルトの放射線を受けます。日常生活における放射線副作用胃のX線検査(1回あたり)胸のX線検査(1回あたり)体幹部のCT検査5~14医師などの職業人の限度(5年間)自然界から受ける年間放射線量核医学検査(1回あたり)1~15実効線量(ミリシーベルト)0.064151001514(出典:UNSCEAR2000Report)2.4※放射線の単位については、Q2をご覧ください。Q15核医学検査で子供ができなくなることはありますか?男性も女性も子供ができなくなることはありません。A妊娠していると思われる女性の核医学検査は、できるだけ避けるのがよいとされていますので、検査予約のときに必ずお話しください。しかし、万一気が付かないで検査を受けてしまった場合も心配はありません。男性の場合も女性の場合も、核医学検査を受けたことが原因で子供ができなくなることはありません。また、核医学検査を受けたときに、仮に妊娠していたとしても、核医学検査で受けた放射線が原因で胎児に影響が現れることもありませんので、心配はありません。放射線を受けたかどうかに全く関係なく、子供が欲しいと思っている夫婦の約一割は、いろいろな原因で不妊であると推定されています。副作用子供ができない、あるいは子供ができにくいことを不妊といい、放射線を受けたことが原因でおこる不妊を放射線不妊といいます。放射線不妊は、多くの人々が心配する影響の一つですが、放射線不妊についてはこれまでの豊富な経験があります。1950年代後半までは、わが国でも治療の目的で女性の卵巣に放射線を照射し、意図的に放射線不妊をおこす治療が行われていたからです。放射線不妊に関する人についてのデータが豊富ですから、どの程度の放射線を受けると不妊になるかということがよくわかっています。卵巣あるいは睾丸に数百ミリグレイ以上の放射線を受けた場合には、一時的に子供ができにくくなることがあります。永久に子供ができなくなるのは、卵巣や睾丸に数千ミリグレイ以上の放射線を受けた時です。卵巣あるいは睾丸に受けた線量が、これよりも低い場合には、不妊がおこることはありません。核医学検査で卵巣や睾丸が受ける線量は、百ミリグレイを超えることはありません。ですから、核医学検査が原因で不妊になることはありません。不妊母親が核医学検査を受けたとき、妊娠していますと胎児が放射線を受ける可能性があります。しかし、胎児に奇形や、大脳の発達の遅れがおこるのは、胎児が百ミリグレイ以上の放射線を受けた場合です。核医学検査の種類や妊娠の時期によって異なりますが、いずれの検査の場合も胎児の線量が百ミリグレイを超えることはありません。したがって、仮に妊娠中に核医学検査を受けたとしても胎児に奇形などの影響を及ぼすことはありません。胎児への影響※放射線の単位については、Q2をご覧ください。Q16バセドウ病でアイソトープ治療をすすめられました。どんな治療ですか?ヨウ素-131というアイソトープの入ったカプセルを服用するという簡単な方法です。A甲状腺がホルモンを必要以上に作りすぎる病気がバセドウ病です。このバセドウ病の治療には、(1)抗甲状腺薬の服用、(2)アイソトープ治療、(3)手術があります。抗甲状腺薬の治療では、2~3割の人が、1年から1年半の治療で治ります。しかしこれ以上の期間で治らない場合に、抗甲状腺薬の治療を続けるのは、薬の副作用が心配です。手術は、甲状腺を部分的に切り取るのですが、首に手術の跡が残ります。アイソトープ治療は、手術の効果と同じで、大きくて働きすぎる甲状腺を小さくして正常にもどします。甲状腺は、海藻類などに多く含まれるヨウ素を使ってホルモンを作ります。ヨウ素を含む海藻類などを食べないで、放射性のヨウ素-131を服用しますと、甲状腺は普通のヨウ素と区別できないため、放射性のヨウ素-131は甲状腺に集まります。このことにより放射線の影響を甲状腺に集中することができます。このために甲状腺細胞が、放射線の影響で減少します。その結果、作られる甲状腺ホルモンの量は少なくなります。この治療法は、確実にバセドウ病を治すことができます。治療効果は「ヨウ素-131」の服用量と甲状腺の放射線感受性によって決まります。効果が不十分な場合、人によっては二度または三度、治療を行うことがあります。抗甲状腺薬の治療と異なり、はれた甲状腺を速やかに小さくすることができます。ヨウ素-131の治療により甲状腺の機能が抑えられるため、手術の場合と同じように、治療後年数が経って、甲状腺ホルモンの足りない甲状腺機能低下症になる人がいます。この場合には、甲状腺ホルモン剤の服用が必要になりますが、甲状腺ホルモン剤には副作用はありません。したがって、抗甲状腺薬でバセドウ病の治療を続けるよりもはるかに快適な社会生活ができます。ヨウ素-131による治療治療前治療後バセドウ病患者。ヨウ素-131による治療前の甲状腺の画像(左)では甲状腺は非常に大きい。ヨウ素-131による治療後10カ月の甲状腺の画像(右)では、甲状腺は正常の大きさになり治癒しています。参考資料:「バセドウ病のアイソトープ治療について-患者さんのためのパンフレット」(発行:甲状腺I-131内用療法シンポジウム組織委員会)入手希望の方は、日本アイソトープ協会までお問合せください。核医学検査Q&Aなぜ核医学検査を受けるの?編集委員会委員長絹谷清剛副委員長石井一成犬伏正幸委員久慈一英坂本攝田代学百瀬満辻川哲也西井龍一巽光朗沖崎貴琢加藤克彦石守崇好山本由佳MeiTian石岡典子清野泰志田原美保高橋康幸小川美香子森田智視