狭心症と心筋梗塞何を調べているの?どのように調べるの?心臓の検査虚血チェックのきょけつ狭窄チェックのきょうさく監修:明石嘉浩先生聖マリアンナ医科大学循環器内科1日本循環器学会のガイドラインは「虚血と狭窄の両方を調べて、カテーテル治療を行うかどうか決めましょう」とすすめています。はじめに心臓の筋肉(心筋)に血液を運ぶ血管(冠動脈)に、動脈硬化などの障害が起きると、心筋に酸素や栄養が供給されず「狭心症、心筋梗塞」が起きます。治療法にはお薬による治療、カテーテル治療、バイパス手術といった様々な方法がありますが、どの治療法が患者さんに最も良い方法かを決めるには検査が必要です。「はたらきをみる検査」では、心臓が正常に動いているか、心筋の血液不足「虚きょ血けつ」がないかを調べます。「かたちをみる検査」では、冠動脈が狭くなる「狭きょう窄さく」がないかを調べます。はたらきをみる検査(機能)かたちをみる検査治療(形態)●問診●心電図●血液検査●心エコー●心筋シンチグラフィ●FFR(冠血流予備量比)など●冠動脈CT●冠動脈造影検査など●お薬による治療●カテーテル治療●バイパス手術p.3~4p.5p.5p.6コラムはたらき+かたち虚血チェックのきょけつ狭窄チェックのきょうさく2狭心症と心筋梗塞をまとめて虚きょけつ血性せいしんしっかん心疾患と言います。冠動脈の内腔が狭くなり心筋の虚きょけつ血(血液不足)が起きるのが「狭心症」、完全に詰まってしまい心筋が壊えし死するのが「心筋梗塞」です。主な原因であるアテローム性動脈硬化では、血管壁にコレステロールなどがたまってできた「アテローム」が血液の流れのさまたげとなります。アテロームをおおう被膜が厚い「安定狭心症」よりも、被膜が薄い「不安定狭心症」は被膜が破れやすく、心筋梗塞を起こしやすくなります。狭心症の症状は数分~10分ほどでおさまりますが、30分以上続くと心筋梗塞の可能性があります。狭心症には、運動やストレスで発症するタイプ、睡眠中や安静時に発症するタイプがあります。[典型的な症状]◦締めつけられるような胸の痛み◦突然の冷や汗◦息苦しさ[注意すべきポイント]◦肩や首、歯などに痛みが出ることもある◦痛みが生じないこともある(特に糖尿病で神経障害がある場合)狭心症と心筋梗塞のちがいは?症状は?虚血性心疾患は生死にかかわる危険な病気です。症状があれば早めに病院へ!心筋梗塞狭心症安定狭心症血液の流れ厚い被膜アテローム不安定狭心症血栓薄い被膜が破れる血管の内腔が完全に塞がれる心筋の虚血心筋の壊死3虚血チェックのきょけつ心臓がきちんとはたらいているか、心筋に虚血がないかを調べます。症状が起きる状態を調べるため、運動やお薬で「負荷」をかけることもあります。どのような症状が、どのような状態の時、どれくらいの時間続いたか、医師に伝えてください。これまでかかった病気や、生活習慣、ご家族の病歴といった情報も大切です。すでにお薬で治療している場合は、お薬の効き具合や症状の変化も伝えてください。心筋梗塞で心筋が壊死すると、心筋に含まれる酵素(トロポニン-T、CKなど)が血液中に流れ出すため、血液検査でわかります。心臓が動く時に出る電気信号を、波形に描き出したものが心電図です。心筋に虚血があったり壊死があったりすると、波形が乱れます。ベッドで調べる「安静時心電図」、運動をして調べる「運動負荷心電図」、携帯型の心電図装置で調べる「ホルター心電図」があります。はたらき(機能)をみる検査問診血液検査心電図[安静時心電図][運動負荷心電図][ホルター心電図]胸に6カ所、手首に2カ所、足首2カ所に電極をつけて調べます。エルゴメータ法(図)、マスター2階段法、トレッドミル法があります。携帯型心電図を24時間身につけて、どのような時に異常が現れるかを調べます。4心筋に集まる性質をもったお薬(ラジオアイソトープ検査薬)を使い、お薬がどれだけ心筋に取り込まれるかを画像にして診断します。心筋の虚血や壊死の範囲がわかります。お薬を腕から注射した後、専用のガンマカメラで撮影します。安静にした状態と、負荷をかけた状態で調べます。超音波をあてた反射から、心臓が動いている様子をみる画像診断です。虚血があると、その部分の心臓の動きが低下します。運動時と同じ状態にするため、お薬で負荷をかけて行うこともあります。冠動脈内圧を測定する検査です。冠動脈を拡張させるお薬を投与し、プレッシャーワイヤーという圧センサーを冠動脈に挿入して冠動脈狭窄部位の前後の圧を測定し、その比を算出します。0~1.00の数値で示され、たとえばFFRが0.72の場合は通常得られる最大血流量の72%しか流れていないことを示しています。心筋シンチグラフィ心エコーFFR(冠血流予備量比)負荷時安静時専用のガンマカメラ白矢印:虚血が疑われる部位安静時には虚血が目立たなくても、負荷がかかると虚血がはっきり出ることがあります。どの断面をみているか短軸像狭窄0.900.725はたらき(シンチグラフィ)+かたち(CT)狭窄チェックのきょうさくどの冠動脈に、どの程度の狭窄があるかを画像で調べます。体の外側から撮影する方法、カテーテルという細い管を体の中に入れて映し出す方法があります。造影剤を注入して、体の外側からX線で撮影する画像診断です。心臓や冠動脈のかたち、狭窄している部分が正確にわかります。ただし、冠動脈に石灰化(カルシウムが多くたまった状態)があると、うまく映らないことがあります。また、腎臓病などで造影剤の副作用が問題となることがあります。脚の付け根または手首の血管からカテーテルを冠動脈まで送り込み、その先端から造影剤を注入して、心臓や冠動脈のかたちを撮影します。治療方法を決定するための重要な検査ですが体に負担がかかります。最近のコンピュータ技術の進歩によって、心筋シンチグラフィと冠動脈CTの画像を重ね合わせることができるようになってきました。虚血と狭窄を同時に確認できます。かたち(形態)をみる検査冠動脈CT冠動脈造影検査コラム狭窄なし狭窄なし狭窄虚血6発作を防ぐ薬「カルシウム拮抗薬、持続性のある硝酸薬、β遮断薬」、発作を抑える薬「硝酸薬(ニトログリセリンなど)」、血栓ができるのを防ぐ薬「抗血小板薬(アスピリンなど)」で治療します。冠動脈が狭窄している部分に、カテーテルを挿入して、血液の流れを改善する治療法です。バルーン(風船)を狭窄している部分で広げて病変を拡げる「バルーン療法」や、拡げた病変部にステントを留置する「ステント療法」などがあります。冠動脈が狭窄している部分をまたいで、体の他の部分からとってきた血管をつなぎ、新たな血液の通り道をつくる治療法です。手術で胸を切開するので、体への負担は大きくなります。お薬による治療カテーテル治療バイパス手術狭心症・心筋梗塞の治療再発の予防には、生活習慣を改善することも、とても大切です。治療後は定期的に検査を受けてくださいね。詳しくは担当の医師におたずねください。バイパス手術カテーテル治療狭窄しているバイパス部分虚血が起きている部分バルーン療法バルーンカテーテルステントステント療法医療機関名放射線被ばく線量の目安心臓カテーテル(皮膚線量)医師などの職業人の限度(5年間)心筋シンチグラフィCT検査PET検査線量の単位自然界から受ける年間放射線量(2.1mSv)胸のX線検査胃のX線検査0.01mSv0.1mSv1mSv10mSv100mSv1000mSvmSv(ミリシーベルト):人体の被ばくによる影響の大きさを表します。参考ご不明な点、ご不安に感じる点がありましたら、お気軽に検査スタッフにおたずねください。2018年10月改訂31810200QCAR-3-161